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伊東屋で中屋万年筆を買ってきました。(後編)

前回は軸の件だけで力尽きて書き終わったので、気を取り直して肝心のペン先方面のレビューをしたいと思います。

私はこれまでにプラチナ♯3776系モデルを2本持っていまして、
(・中字のセルロイド金魚軸と、 ・ミュージックペン先の黒軸。)
かなり愛用しておりますので、1万円モデルのボルドー軸細字をさらに買い足したくなって、ずーっと探していた時期がありました。

昨年だったか、何故かそのときに限ってどこに行ってもたいへんに品薄、通販でも「いつ入荷するかわからない」と言われるような状態。
このペン先でも細字を味わってみたかったので、ガッカリしていたのです。

というわけなので、中屋の万年筆はさいしょから、細字を買う気満々で行きました。

試し書き用のペンがたくさんささっていた9本分のらっぱがついたスタンド、すごい迫力だったなあ~!
試筆用のペン達は、いろんな人の手を渡ってきただけあって、どれもフロー多めで当たりが柔らかく正直どれも欲しくなってしまって迷うところだったんですけれど。

今回選んだ細字ペン先、ビシっとした硬さが気持ちよく、いかにもプラチナっぽい(と言ってしまっていいのか?職人さんいわく「まあ、同じようなものです。」)、輪郭のはっきりした、キリリとした線が出ます。
調整してくれる方の面前で字を書くのはすごく緊張するので苦手なんですけれど、なんだか面白くなって、こりこりと「茨城県」とか「細字」とか意味もなく書き続ける私。

いちおう、たいへん人気であるという「細軟」も試させてもらったのですが、うーん、予感はしていたのですが、このふわりとした弾力感は、私の書き心地傾向には全く合いませんでした。残念。
このタイプでもう少し太い「中軟」ペン先も同様。
筆圧の入り抜きがきちんとわかっていて、いわゆる「大人の字」がさらりと書けるような手には、きっと相性がよいであろうことは理解できました。
・・・でも紙上をさりさりと疾走する硬式ペン先を愛する私には難易度が高すぎたのでした。
悔しいー。

そして予想外に、太字、それ以上にミュージック(MS)が書き心地良くて、一瞬手が止まりました。
♯3776で持ってなかったらどんでん返しでこっちに決めていたかもというくらい、すべすべと幸せな感触!

帰宅してしばらく集中して書き込んでみて、実のところ、もうちょいフロー多ければこの硬さは和らぐのかな(試筆ペンみたいな感じに近づけるのかな)、という感想はあり。
川口さんに”インクなみなみ”で調整していただいて購入した「プロフィット21」のEFのほうがほとんど同じくらいの幅で書けるくらいだったりします。
どうしようかな、1週間後にまた調整の方の常駐日があるからもう一度行って、やってもらおうかな。
と、そのとき思ったのは確かなのです。

しかしいくらでもコマカク字が書けてしまう、コリっとした書き心地が1日で楽しくなってしまい、持っているどれにも似ていない個性として可愛がりたくなってきたのでした。
ああ単純。
しかも、その後たった数日ほどで、どんどん、なんだか脱皮するように書き心地がしっくりしてきて、面白いなあと。
今後も順調に愛用していけば、月単位・年単位であの試筆ペンの触感に近づいていくのではないかな。と期待します。

もちろん、目の前でペン先に調整を施しつつ組み立てて頂いたので、書きだしカスレや途切れといった不具合は皆無。
インク出自体も、多すぎず少なすぎず、としか表現できないような「ぴったりまんなか」の程度なのではないかと。
(通販でも対面でも、書き味に関しては、こまかい好みがある場合は対応して下さるのでリクエストするべきですよ。)

薄くて目が詰まった手帳用紙にこりこり字を埋めていくのも、まさに「細字番長」な会社のペン先らしい醍醐味があるのですが。
クッション性ある厚地で筆記摩擦多め系の紙(ツバメノートとか。MDノートなんかも。マルマンのクロッキー帳もいいぞ。)にシャキシャキと書き進めていくのもなかなか新境地にたのしい。
「万年筆は”ぬらぬら”だけじゃないんだぞ!派」の私にはとても相性がよいです。

極細所有であることも手伝っているのでしょうがプロフィット21は穂先がけっこうしなるペンなんだなーと感じるのですが、そのいっぽうで中屋の細字ペン先は、先までがっちり、の堅牢さが手に伝わってきます。
それどころか、このペン先で長時間字を書いたあとは、ペリカンのM800にフンワリな柔らかさを感じたり、モンブラン146がずいぶんしなやかに思えてしまう(いずれもEFペン先で。)という、相対的効果が大きいことに驚かされます。
こういう新たな発見も面白いですね。

いまのところインクは、購入時にひとはこ頂いたブルーブラックをそのまま使い続けているのですが、好きな色とはいえちょっと実用的に過ぎる感じもあり。
滲みや裏抜けに悩まされないから素晴らしいインクなのですが。
このままこれで馴らしてしまうか、せっかくの軸なのでフロー良好系でいろいろ遊んでみるか、悩むところです。

その他ちょっと珍しいので、売場にあるときに買っておいてもいいかなと以前から思っていてたのが、写真の、ヨーロッパ規格のカートリッジをさすことが出来るアダプター。100円です。
プラチナのコンバーターは持ってるので、必要になるときがくるかどうかは謎ですけれど。
(ちなみに、このアダプタ+ウォーターマンのロングカートリッジは、あまりに長すぎるのか軸内部でつかえてしまってダメでした..。)

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そうそう、つい2,3日前の出来事なのですが、知っている人にとっては、当たり前じゃんと言いたいであろう話。
なんと、♯3776モデルが首軸ごと中屋の軸にクルクルとそのまま普通に付け替え可能なのでした!!

・と、いうことは、漆軸で手持ちのプラチナミュージックが使えてしまう。
(中屋のほうもその手前のところまで黒いのでほとんど違和感なし…黒い樹脂首軸ですけれど中屋側と目立つ段差もなく、先端にリングがついているのでむしろ豪華にみえたり…)

・そして、漆軸でセルロイドキンギョの中字が使えてしまう。
(これはどう贔屓目にみても見た目にかなりおかしい。
しかしこのキンギョ軸は、キャップ無しだと短くて軽すぎ・キャップは重くてうまく後ろに止まらない、ということに微妙に悩んでいたので、中屋軸にとりつけるとベストバランスになってしまうのが悔しいくらい。)

伊東屋で試筆時のミュージックペン先に後ろ髪引かれていたので、思わず、「ヒャー」と声に出してしまったくらい嬉しかったです。
中字も、首軸だけド派手な見かけはべつとして上記理由で格段に疲れにくくなったし。

セコいこと言ってるなあ..、とお思いでしょうが、あまりに驚いたので世界に自慢したくなるくらいの発見(これはまるで、パリで見かけた「カリグラフィペン先首軸3種 + 胴軸1本」セット商品の合理性を味わった思いだ。)、なのでした。

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