
すっかりレビューのタイミングを逃してしまい、昨年の夏に購入以来、いつか書こうと思い続けてきたかわいい万年筆について。
この、レトロな模様の万年筆は、プラチナの#3776の中字ペン先、「セルロイドキンギョ」軸です。
メーカーHP内だと、このあたり。 暑い盛りに迎えるに相応しいペンだと思いませんか。
以前からうすうす気になっていたのですが、通販サイトなどの写真をいつも目にしているうちに、すごーく欲しくなってきたのです。
プラチナの万年筆では3776のミュージックを買ったときにとても御世話になった丸善本店に出掛け、そのときと同じ店員さん(おそらくプラチナ好きの。)に応対してもらいました。
金魚柄以外のセルロイド軸もいろいろ見せて頂きまして、写真時点では全然欲しくなかった「ベッコウ」柄なんかが実にいい色をしているのに気付いたりして、心揺れましたよ~。
買う前にいろいろと予習した件なのですが、このペンはいわゆる「継ぎ目」があるのが特徴です。
いつも勉強させて頂いている「万年筆評価の部屋」さんのプラチナ #3776 石垣という記事がわかりやすく読めるでしょう。
「なるべく、継ぎ目が書いているときに目立つ側になくて、模様の”途切れ線”自体もあんまり目立たなくて、個人的好みだけど”赤味”が多い模様がいいなと思うので。
そういう軸を『玄人目』で選んで頂けませんか?」
というリクエストをしてみました。
そうしたら、下のほうから、どーんとトレイが出て来て、そこにいっぱい並んだ金魚柄のセルロイド軸。
(ふだんからこんなに在庫があるのか、たまたまなのか、その店員さんの趣味なのか、は謎。
でもすごかったよ。10本くらいはあった。夏だから金魚が売れるのか?) ペン先は好きな書き心地のもので付け替えてくれるとのことなので、わーい。です。
結果、特にキャップが赤身要素の強い、この一本(一匹)が決まりました。
胴軸のほうの継ぎ目も、うまいこと両側からの「白身」が大きい場所がほぼ一致しているのでほとんど気になりませんし、そもそも軸の真下になって筆記中は見えない位置なのでOK。
ペン先は、先に購入した「ミュージック」を、極太線でガシガシ書きものをする、通常用途でヘビーに使っておりましたので。
今回は、手帳などにも使える細字傾向でいこうと思っていました。
でも、ほんとにプラチナの細字は、すんっごく細い!
それでも滑らかで、カリカリするところが皆無なのは偉いと感じたのですが。
結局、自分の用途のなかで重宝しそうだ、と認定できたのは「中字」だったのでした。
(私にはじゅうぶんに細字なんですけど…)
うーん、この基準で「極細」とか「超極細」があるプラチナ、恐るべし。
で、「中字」ですが、4ミリ罫くらいの幅にも気持ちよく記述できちゃいますね。
(ほぼ日なんかも4ミリ方眼ですし、フランクリン・プランナーの罫線もちょうどそれくらい。
Moleskineへの書き心地もグゥですよ。)
細いんだけど「ちゃんと面がついている」摩擦感というか、硬め傾向なここちよい手応えがあります。
お気に入りの鉛筆の「研ぎたて」じゃなくて、そこから使い始めて数分圏内の、小さいけれど確かな面。これに似てます。
村上春樹風にいうと「小確面」だ。
そこがプラチナの万年筆として(デスクペン等も含めて)以前から実に気に入っているところ、なのです。
ちなみに、2本の#3776には、コンバーターでラミーの青色インクを入れています。
滲みのないくっきりめな線の輪郭と色味が際だって気持ちよく書けるので、相性いいんじゃないかな、と思いこんでるわけですが。
しばらくはこの路線で使ってみようかと。
同じ#3776とはついていますが、1万円代の樹脂軸のほうとセルロイド軸はずいぶん持ち心地も違う気がします。
セルロイド軸はキャップもしっかりとぶ厚くて重いので、つけないで書いた方が私は好き。
そのぶん、華奢めな胴に似合わぬ貫禄のペン先を堪能してます。
(1月の最高頻度使用に間違いない)キャップレスの丸くてモチモチっとした書き味の気分転換、というかおくちなおしとしても活躍中。
そんなたのしい使い心地です。
そうそう当初は、なんだろう、ペンキ?消毒薬?軸が溶けた?と動揺した独特の(しかし癖になる)香り。
指先から薄くたちのぼってくるこれは、セルロイドの匂いでした。
このごろは慣れたのか消えてきたのか、あまり気付かなくなっているのですけれど、いいもんですね。
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昨年は、それなりに吟味したとはいえ、値段も本数もハイペース←従来比で購入していった結果、精鋭メンバー達が手元に揃いましたので。
これらが、しっくりと楽しく手にくっつくように育成することにも心をくだいていきたいと思ってるんです。
(まあ平たく言えば、これ以上買い集めても、道具として面倒を見きれる自信があんまりない。
という気がしてます。)
…とかカッコいいこと言ってても、買っちゃうんだろうな~!
気になるモノは数々あることはあるのですが。
しかし今、最も物欲ロックオンしている1本と言われれば、今度のペリカンの限定モデル(これも史跡シリーズ?)でしょうか。
ナイアガラの滝だって。
数日前、いつもお耳がはやい「道化は踊る 」さんにて知りました。
模様自体はそれほど感動しない(ペリカンらしいといえば、らしい..。)のですが、軸のふっくら形状が興味深いです。
ボールペンなんかも、写真の限りでは形がとてもかわいい。
コンコルドを気に入って以来、M600のサイズは、これぞと思った限定版で。
と計画し続けてきたのですが、やっと2代(本)目にしてあげてもいいかな?と妄想中。
コンコルドもそうですけれど、フェミニン路線なペンが意外に好きなのかもしれません。
で、先代がMニブなので次はBにしようかな。
書斎館で購入したM400のBニブがたいそう調子よくて、日々活躍中ですので。
まずは、そのうち都会に出て見物に行く(気に入ればそのまま買っちまう..かもしれん)ことを楽しみにしたいと思います。
