「バルテュス展」を見に行った日、上野の人混みのすごさで心が折れそうになったのですが、もうひと足のばして銀座に寄って帰って来ました。

写真は、モンブラン銀座本店で購入した90周年の灰色インクです。
売場は、限定マイスターシュテュックがディスプレイされていて、ピンクゴールドペン先の美しいことと言ったら!
さらりと「これ下さい」と言えればどんなに楽しいか…とも思ったのですが、その傍らに置かれたインクだけにしておきましたよ。
ボトルが可愛らしくて、普段使用している巨大な靴型サイズに較べるとだいぶ小ぶりです。
私はモンブランの限定インクは今まで買ったことがないので、このクラシックな丸い形状がとても珍しく感じました。
箱のデザインも、昔風ででそのまま飾っておきたいような、インク色に合った落ち着いた雰囲気ですよね。
PermanentGreyという表記が気になりまくりだったので、いろいろと質問したかったのですが
(古典成分?顔料?染料?インクフローは?)
なんというかそういうガッついたマニアックな質問ができる雰囲気でもなく、私も周囲の華やかな空気を読みすぎてしまったので。
とりあえず穏やかに
「このインクは他のとどう違うんですか」
と訊くに留めました。
店員さんは
「こちらは他の色のインクと何も変わりません」
「普通のインクと同じに使ってください」
を繰り返すばかりでしたし
「オイスターグレーと色味が少し違うという程度に考えてください」
とのことでした。
ふーむ…
箱をひっくり返したところが下の写真です。
耐色性に優れていて、5年以内に使い切りましょう、とのこと。

実験した方のお話だと、耐水性(書いた上に水を流してみる)もなかなか優秀なインクなんだそうです。
お店の人がいくら「同じです」と主張しても、箱がわざわざPermanentと言うからにはとにかく「定着しやすい成分」が入っていることは確かですよね〜。
入れる軸は、手元にたくさんある廉価系鉄ペンで気負いなく運用していく計画だったのですが。
結局、キャップの気密性が抜群に良い、なおかつ両用式のペンであるプラチナブルゴーニュのBニブ
(と言っても実質 中字線幅なペン先として私の中で分類されている。)
で、まずは使ってみることにしました。
インクも注入も、空のカートリッジへ詰め替える方式で。
プラチナなら”インクかき混ぜ銀玉”が入ってるし…。

一番上の写真は、instagramに載せるのでかっこつけて149と一緒に載せましたけれど、このペンに今回のグレーインクを入れる勇気はまだ出ない…。
9年前の誕生日(..若っ)に購入したものですが、キャップの名前刻印はすっかり色が落ちて素彫り文字となってしまいました。

感想ですが、色味は、ごくごく普通の灰色な気がします。
オイスターグレーの、あの「書き出し時に出現する紫っぽい不思議な感じ」を取り去った以外に、特に違いがわからないのでは?
といえるほど、よく似ていますし。

濃淡差がかなり大きくて墨絵のような感じが出せるので、太字めのペン先が実用的かと思います。
書き味は、
これはあくまでも個人の感想ということなんですが「サラサラしている」気が。
うーん、プラチナペン先で書いてるせいなのか? 乱暴に言ってしまうと「粉っぽい」。
インクフローは全く問題ないし、確かに他の染料インクと差異は感じないんですけれど。
みずみずしさとは違う系統の滑りやすさがあり、意外とこれが好み(や適した紙)を選ぶかもしれない。
↑
個人の感想です。ペン先の個体差に起因する件なのかもしれないです。
とはいえ、使いやすい筆記感なのは満足しました。
やはり黒インクよりは目に穏やかで、鉛筆に似たあたたかい印象がありますから、普段用にけっこう重宝しているのがグレー系のインクなのです。
もう少し軸内で煮詰まれば更に使い勝手良い色味になりそうですし。
私にとって、耐色や耐水の性質が自分にどれだけ必要かどうかは謎。
しかしさっそく日記などに使い始めました。
見かけの良さも大いに気に入っているので、限定だからと惜しまずに消費したいです。
空き瓶の再利用もまた楽しみにしようかと。