
写真の万年筆は、2月の初めごろに購入して以来、ほぼ毎日使い続けているウォーターマンの「エキスパート」です。
近所のLOFTに、通販の写真でチェックして「買うならコレだな」と気になっていた赤軸がFニブで置いてあるのに気づきまして。
(店員さんもなんだか退屈そうだったので..)試し書きだけでもやってみるか..と軽い気持ちで出してもらったのです。
かなりの重量感があり、ひんやりとしたメタル素材…これは私にとっては未体験ゾーンですよ!
(持ってるのは軽めの樹脂軸がほとんど。) …ということにも驚いたのですが、こんなにずっしりしたペンなのに、スルスル書けることに魅了されました。
まあ東京にまで出て買うまでもあるまい、という説得力ある書き味だったので。
これもご縁ですのでウチのコにおなりなさい…と、その場でお買い上げしてしまいました。
季節柄なのか?合皮製のペンケースがついたギフトボックスでサービスしてくれようとしたけれど、一瞬深く考えてどうせ使わないと判断してお断りする。
この前プラチナでもおんなじようなのもらったしなあ。
オマケ無し仕様の箱にいれてもらいました。ロイヤルブルー地にWaterman金文字で、この配色はすげぃカッコイイですな。
そもそも、エキスパートが気になるペンである発端は、以前購入した本のなかで良い感じに紹介されていたから。
昨年末はいわゆる「手帳活用本」が少なからず出ましたよね。
その系列として手にとったものなのですが、これはもう少し幅広く、文具やデジタル機器にまで及ぶ範囲で、各界の人が仕事をする上での、頭脳と繋がる愛用ツールとしてのイチオシを語る。というコンセプトのムック本です。
[カラー図解]手帳、ステーショナリー、デジタル機器「超」活用ノート できる人は使っている←目次等の中身が覗けるようです。
精神科医の名越康文氏が、「自分の感覚を同調させるための必需品」として力説する、2本(赤と緑)の万年筆がアップになった大きな写真がすごくカッコイイのです。
使い込まれたせいで、キャップのめっきがちょっとくたびれかけていて、そこから「道具」としてのオーラがドーンと!
誌面では終始「ウォーターマンの万年筆」とあるだけで、型名までは出てなかったので。
いいなあ、こういうの。という感じで、(当時の)優先順位は若干低めながら物欲をそそられていたのでした。
しらべたところ正確に言えば、この本に載っているペン達はエキスパートの廃番色の軸ではあるようです。
でもちゃんと現行でも6種類の色で出ていて、けっこう資格試験勉強用などに支持があるみたい。
スチールペン先で16000円超っていうのはかなり冒険であるような気がしたので、これは「贅沢鉄ペン」としてどんな感じか使ってみようかなという好奇心も大きかったです。
大きさ・太さはごく普通に、ぱっと見でペリカンの600程度。
しかし(M600より)10グラムくらいは重いので、コンコルドに慣れている手には思わず「うわー」と言いたくなるほど重力がかかります(笑)。
最初は付属していたウォーターマンのブルーブラックのカートリッジをつけて使いましたが、これはほどよく青みのある藍色でとても良い色ですね。
濃くくっきりと色が出るうえに、フローも豊潤。
Fニブでも気持ちよい滑らかさです。
ペンポイントも大きめで、わりと捻って持ってしまっても、ちゃんと書き出せます。
しかし、ペン先は硬め。
ウォーターマン全般に言えることだそうですが。
でも、鉄ペンだからこそなのか、このペン先デザイン特有のことなのかわかりませんが、書き続ける中で、ごく微妙~なしなりが跳ね返ってくるのが判ってそれが心地いい。
なによりこの重量感のせいで、筆圧をよけいにかけずとも、ほぼ自重だけでペンを走らせることができるのは新発見。
だからかえって疲れないんですよ。
キャップがありでも無しでも安定する重量バランスだと思いますし。
(しっかりと(カチッと音をさせて)うしろにつけられる機構になってますよ。)
その後結局、いつものラミーの青インクを入れてしまったので(コンバーターは最初から同梱してあったよ..)、フローがちょっと絞られた替わりに、線に味のある濃淡が出るようになって、感心してます。
意外に、入れるインクの性質次第で書き味も変えられるペンである予感もします。
早書きするとしょりしょりと(ガリガリゴリゴリの濁点系にあらず!)小声でつぶやきつつ紙の上を滑り、まさにこれは「書きつけてますよ」という感覚。
勉強用に人気があるのは頷けます。
(書いてるのを全く忘れるような、というような浮遊感も万年筆の誉め言葉としてアリかもしれませんが、そういうのはあてはまらないペンです。)
あくまでも、「書き道具」としての実用に拘りたいんです、と言いたげ。
ということで、Expertというのはなかなかよい命名かもしれません。

デザインも、かなり気に入ってます。
あまりモダンに走りすぎていない、万年筆としての堅実なかたちなのですが。
緩やかな流線型がなんとも上品。
安価でカジュアルな雰囲気は全く感じられないので、ちゃんとした場面に持ち込んでもじゅうぶん役立つかと思われます。
おしりがちょっと細いので、ワコムのペンタブのスタンドにスポッとハマるのです。
(とはいえ、完全固定というほどはハマらず、簡易的に立てられる程度だけど。)
デスクペン感覚で机上に置けてカッコイイのだー!
ラッカー塗りの石目の模様が緻密で高級感があります。
私がこだわったのは、このペンならば金トリムだろうな、ということ。
6種類ある中で、赤軸と、黒無地軸の2本だけがそうなのですが、ペン先が金銀のコンビ配色になってまして、華やかなんですわ。
この感じのほうが、上品なペン先の曲線がすごく引き立つと思うんだけど。
(銀色金具バージョンだと、ペン先は銀一色なんだよねー。それがちょっとクールすぎる気が。)
そんなわけで、手帳やメモ書きにも大活躍してくれてます。
インクにもよるかもしれませんが、めりはりつけた線がとても書きやすいので、日本語長文にももちろん向いてますよ。
ウォーターマンというブランドはこれが初めてだったわけだけど、今後の購入路線を見直さねばならんかも..と決心するくらいの勢いです。
これよりさらに重くて硬いらしい「カレン」とか、もじどおり手強そうだけど、ブーメランみたいで格好いいなあ、とか。
エキスパートをある程度使ったあとに、例えばサファリとかアウロラとかでちょっと書いてみたりするとそれらが「何コレ!!」というほど無重力かつ柔らかいペン先に感じます。
相対的なものなんですけれど。
この幸福な錯覚(笑)もまた、毎回面白い。
「こういうのじゃなきゃダメ」的に食わず嫌いでいるよりも、いろんな特色をもつペンを持ちかえていくのも楽しいんだなあと思わせてくれる現象です。
というくらいの特色を持っていますので。
これで樹脂軸とか金ペンがあったら面白いのに..とは思うのですが「手にも紙にもしっかりした書き味の万年筆って興味あるかも」
という動機があるならば、ぜひともおすすめしたいペンです。
おそらく、M以上のほうがより書きやすいと思われるので、ちょっと試してみたいかもと興味津々。Bまであるらしい。
上記の本での紹介文でも、太字(←としか解説されてなかった..)のほうを絶賛してたので…。