イタリア(トリノですよ)産、AURORA(アウロラ)のオプティマ・クラシックという万年筆です。
何度かここでも書いていますが、下のバーガンディ色のほうはペン先Fを昨年に青山の書斎館で。
…というわけで、青いのが1本増えているようです…ね!
実はこのブルー軸、購入自体は12月になったばかりの頃。
ちなみに太さはM。
数々の不具合を治療すべく、年を越してだいぶだったあたりでようやく「退院」してきたのです。
定価に対して非常にお買い得に入手できたのですが、インク窓をははさむ位置のリングが緩んでいて、動かすとちゃりちゃりと音が鳴ったり(これはこれでまあ、可愛らしかった。)ペン先がいわゆる「馬尻」の酷い状態で、文字の筆記にはあまり使えるレベルに到達してませんでした。
相当な値引きプライスでの通販の場合、どこまでが自己責任として我慢すべきか考えつつ、そして焦りつつぐるぐると試し書くこと数日。
ダメモトで購入元に相談してみると、その日の内に電話をもらい、引き取り便を手配してくれたのでした。(涙)
その後一ヶ月以上過ぎたので、さすがにどうしちゃったのか問い合わせてみると、「メーカーにて修理・調整中」とのお返事。
…イタリア??
まさか日本でも直すところくらいはあるか。
でもイタリアで年越しだとしたら持ち主より贅沢… 等々妄想の数週間を経て、元気に山奥の我が家に帰ってたのでした。
軸パーツの不具合は完全に直っていましたが、書き味は、うーむ微妙といえば微妙。
書き出しに全くインクが出なかった点はちゃんと調整されて改善してはいますが、おそらくもう少しの使用を重ねることで完全治癒に至るのだろう、程度の「もうちょっと」な段階か。
インクのボテ感も実用の範囲内におさまって、これは有り難い。
いずれ機会あればペンクリニックへ持って行って、もう少し絞ってもらえたらベストという気もする..。
問題ないじゃない?と言いたいところなのですが、書斎館で選んだバーガンディが、Fとは思えないほどカチっとまとまった(しかしとても滑らか)引き締まり感のある書き味であるのに対して、ブルーのほうは、一段階太字とはいえ、いかにも「大味」な感じ。
ま、個体差のうちかもなーとは思うのですが。
それにしてもこの対極な個性!
良く言えば(笑)、今後の育て甲斐ありすぎなコンビなのです。
そもそも、オプティマは私の手には少々軸直径が太く、ペン先もとても硬いのでしなりを感じられず、あまり「万年筆らしい」字を書けるペンではないのです。
実のところ、もう少し重量も欲しい。
(しかし、ボールペンに手が慣れた人にとっては違和感のない、心地良い堅牢さ。
万年筆初心者の人にこそおすすめしてみたいペンです。
贈答品としてもインパクト満点。)
というような、ベタ誉めまでは難しい評価なのですが、オプティマ(特にきらきらのクラシックモデル)は、私にとって「これこそが美しい万年筆!」と思える典型の容姿なのです。
宝石が埋め込まれたように光るこの軸、アウロロイドというオリジナル配合の樹脂を、大きなカタマリの状態から削りだして製作するのだとか。
これもまた個体差かもしれませんが、バーガンディとブルー軸、ちょっと光り方が違います。
バーガンディが1層下にキラキラ部があるような距離感があるため、全体的に暗めで奥行きがある模様であるのに対して、青はもっと表面に近い場所にキラキラが存在している感じ。
だから、違う種類の「石」のように思えるのです。
以前は金色部品のついたペンは無駄にゴージャスっぽくて嫌い、と思ってきたわけですが、モンブランなどを毎日手にとっているうちにその信念も崩れてきてしまいました。
楽しげで、活気があっていいじゃないかと(笑)。
実際、この鮮やかな青軸の上に、黄色みの強いゴールドがバーンと映えて、このコントラストが意外なほどに清々しいのです。
これで銀色部品だったらちょっと寒々しく、寂しい感じになるかもしれません。
というわけで、なんだかんだ言いつつ、私はAURORAファンなのです。
これからもうっとり手にとっていきたいので、コレクションは徐々に。
今回初めて利用した店ではあったのですが、購入店には非常に誠意あるよい対応をしていただいたので、それに対して思うことはないのですが、購入以降にかかった手間や時間をたっぷり味わってしまったお陰で、万年筆を通販で(しかもかなりの値引きで)購入することに対して、多少のビビリ感を抱くようになってしまいました。
今までも、何本も通販で買ってきてはいるのですが..
ま、いずれ克服できるはず…