このことは以前ちょこっと書いたような気がしますが、実家のお隣の方から古い万年筆を頂きました。
「趣味の文具箱16」の話を母から聞いて、「あらーそんなに好きなら是非!」と昔に愛用していたものを私宛に譲ってくださったとのことで。
ほんっとに嬉しかったです。

この金属軸には格子模様が彫ってあり、よく似たデザインのが以前パーカーで出ていたのは知っています・・・
(遙か昔の子供の頃にも、ボールペンかなにかでこんな感じのを使った覚えはある。ホンモノかはわかりませんが。)
観察してみたところキャップの下のほうに
「PILOT CUSTOM STERLING SILVER MADE IN JAPAN」
の文字が!
なんと…..。
いつかは欲しいと憧れだった、銀軸の万年筆が今ここに(涙)
このクラシックなデザインのペン先には、18KWG(18金ホワイトゴールド)、F(細字)の刻印があります。
(下の写真参照ください)

帰宅後さっそくカートリッジをとりつけてみたところ、素晴らしい書き味です。
決して柔らかいわけではないのですが、この形ゆえの独特のしなりを感じます。
おそらく元の持ち主の書き癖からくる極小の面がついており(これがまた私の筆記角にも心地よく、大人っぽい線で字が出てくる。新品のペン先では決して味わえない手馴れ感といいましょうか。)たいへん滑らかに細字が書けるのです。
いやあ有り難い…
とにやにやしながらふと手元を眺めると、大変なことが発覚しました。
指先がまっつぁおですよ!
ペン先の、いちばん下のV字状になっている根元部分からジワジワとインクが漏れだしていました。
もちろんコレが原因というわけではないんですがその頃、私の体もまたジワジワと蕁麻疹が浸食中だったので。
東京に出てパイロットのペンステーションに持ち込むなどという夢は叶わず、以前もアウロラのキャップ交換でお世話になったことのある地元の文具店経由でメーカーに出してもらいました。
かゆみがほぼ治った先日、万年筆もまた1ヶ月ぶりに退院。
お店はセール期間中だったので割引きもしてもらい、4000円ちょっとで元気になって帰ってきました~。
(気のせいかもしれませんが、すこし緩めだったキャップもしっかりと固くはまるように調整してくれたような感じがします。パチンと入れる勘合式です。)
待っている間に、コンバーターを用意し(使い慣れた操作で入るCON-50がいいと判断。格好いいけど”押して”入れる70はペン先がどこかにぶつかりそうでちょっと怖いんです。)じっくり考えて、色彩雫の「紺碧」を注入。
やっぱりこの色は、春から夏にかけて大活躍する大変美しいインクだと思います。
僅かに黄味がかったペリカンのターコイスが日差したっぷりな空色とすると、紺碧は、酸素濃度薄めなくらいに上空の青色ですね。
毎年、手帳にこれらのそら色系統の字が増えてくると、だんだん夏に近づいてるなあと思います。

というわけで、私は古いペンの知識が皆無なので、これの詳しい名称などは判らないのですが。
思いがけず私のところにやってきた素敵な万年筆、今年を象徴する一本になりそうです。
部分的ながらも実は、年月を経たなりの燻し銀の色味はかなりしっかりとついていまして、アンティークな渋みを放っていたのですが。
(だいぶ迷いましたし、それはどうよと思う方もおられるでしょうが、)これは私の時点で一度リセットさせて頂くことを決断。
貴金属磨き布で結構ピカピカにしてしまいました。
柔らかい光沢と、吸い付くようなあたたかい触感、これが銀なのだなあ。
これからまた、私の手の中で育っていくのが楽しみなのです。
大切に使っていこうと思います。
(これを起点に他にもシルバー軸が欲しくなっちゃったらどうしよう。)
重さはコンバーターやインク等セットした状態ではありますが28gくらい。
手持ちの中ではわりと重めの部類ですね。
とはいえ、キャップを後ろに付けても私の手には合うバランスのようで、程良いずっしりを楽しみつつコマゴマ書くのを楽しく感じています。
今後しばらくは、紙類が紺碧色の記述で埋まっていきそう….