
3月の万年筆祭りの時に買ってきたものは、実はこれがメインだったのですが。
こういう万年筆があるのだとコミミにはさんで以来、ずっと気になっていた、セーラーの長刀(なぎなた)ペン先。
頭の中で「ちょうとう」と読んでいた期間がずいぶん長かったことはヒミツだ。 このペンを買うにはいちばんよい機会だろうと、開催をとても楽しみにしていた私。
長刀なんてまだまだ入門編なのかもしれないな!と奥の深さに驚愕した、特殊ペン先の通販サイトでの解説や、持っている方々のブログ等々から学習したところ、
・筆記角度で様々に線の表情をつけられるので、トメ・ハライなどをともなう日本語の記述にとても適している
・トータルとしては(いちばんほそい「中細」を選んだとしても)わりと太字な線幅で書ける
であるそうで。
通常の万年筆よりも、ペンポイントが長く研ぎ出されているので長刀というそうです。
どっちかというと、「クロバーのかぎ針」みたいなイメージですよ?
こんな感じの写真も撮ってみたのですけれど..

会場の、セーラーのコーナー試し書きさせてもらったのは、「プロフェッショナルギア」という型のもの。
21kのペン先です。
軽いですが比較的太い軸直径です。
その一方、「プロフィット21」というタイプのほうはモンブラン似なのですが(笑)こちらのほうがいくらか細軸かもしれません。
銀金具タイプもあります
「プロフィット」も「プロフェッショナルギア」も、特殊ペン先に限らず、セーラーのスタンダードタイプの万年筆として普及している商品ですが。
(プロフェッショナルギアは最近のミニペンブームに乗ってか、すごく小さいのとかも発売されていて面白いですよね)
で、長刀ペン先の話に戻りますが、中細字(MF)・中字(M)と2種類出してもらって試筆してみました。
中字のほうはやはり、ちょっと太すぎというか、インクどばどば、という感じで躊躇。
「長刀の良さを楽しむなら太い方がオススメなのですけれど」
とお店の方にも言われたのですけれど…
一方、中細長刀のほうは、意外にも「けっこう細い字も書けるのね」という新鮮な驚きがありました。
確かに、言われたとおりに「寝かせて」書いてみると、しっかりとした太さがでますけれど。ナルホド長刀です。
しかし私の「通常(かなり立て気味・根本もち)」パターンで試してみると、普通に書けてしまう。
舶来ブランドのF~M程度と言えましょうか。
完全に(手帳にも使える)実用レベルの筆跡でイケてしまうんですよねえ。
筆ペン的に、用途も特殊な感じでしか使えないと思っていたので、これは嬉しい誤算でした。
ここにくるまえの事前学習で、プロフェッショナルギアならば黒軸銀トリムタイプの配色にしようと思っていました。
オプティマ似なところは別として、クールな感じが、絵的にはわりと気に入っていたのです。
前から思ってたんですが、セーラーの金色部分って、すっごい黄色いんですよ。24金メッキなんだとかで。じゅ、純金?
そのとき、中細長刀の在庫は、今回の試筆時点ではじめて見た、ボルドー(金トリム)軸のものだけでした。
プロフェッショナルギアのボルドーはネット上でもあまり見たことがない色なので、このイベントならではの少量在庫だったのかもしれません。
うわー。また赤っぽい色のペンが私のところに来ようとしている..というか、この配色はまさにモンブランのボルドー…しかし形はアウロラ…と、一瞬頭の中が大混乱に陥った私。
しかし、気がついたらお買い上げしてました。
コンバータもつけてもらいましたが、カートリッジも2ヶ頂きました。(お願いして青色に。)

帰宅して、手持ちのペン達とともに並べてみると、なるほどすんなりと馴染む色合いでした。
なんていったって、私の万年筆はデフォルトカラーがボルドーなんです、といってよいほどの集まり具合でして。
(モンブランのFPとBP,パーカー75、オプティマクラシック、ウォーターマンのエキスパートも。みんな、総合的には暗めの赤色!)
世間的には基本色であろう、黒軸のほうが少ないのです。
この、セーラーのボルドーは、照明によっては茶色軸に見えなくもないモンブランより、ほんの少し鮮やかな赤色なのも、けっこう気に入ってます。
プロフィットのモデルでなら、セーラー取扱の文具店に並んでいる確率が大きいかもです。
よい色ですよ。
書き心地ですが。
そもそもセーラーの万年筆は記憶の限りでは初めてな私。
モンブランの146やオプティマよりも背の高い、とても大きいペン先がついてます。
長刀特有のものかもしれませんが、先が少しザラついている?と思えるほどの独特な摩擦感もあり。
「シュー」と「スー」の間のような筆記音がするのです。音だけは鉛筆っぽいというか。
そしてこれは「固い」ペン先の部類にはいると思います。
「ふわふわ」とか「無重力」いう感じではありません。
少し厚地の金属板がくわんくわん(ペコペコじゃないです)としなる「バネ力(ばねぢから)」が、かなーりツボにはまり、気に入ってしまいました。
買ってきてすぐ、よりも、毎日手にして1・2週間経ったくらいに「ハッ(;゚Д゚)これは相当いい..」と気付く馴染み方なんですよ。
このハネカエリのせいで、縦横にコマカク線を入れること(つまり日本語のような字のかたち)がとてもラクだし、無駄な筆圧も吸収してくれるというか。
習字の心得はないのであまり多くは語れませんが、とにかく疲れません。
細かい字でもいくらでも書けそう。
この、「かぎ針の先」みたいな大型ペンポイントのおかげで、多少捻って書き出してもしっかり紙を捉えてインクが出て来てくれるし。
前述の通り、私の手では舶来ブランドのM弱程度のほどよい線幅になります。
いま、ペリカン青インクのハカナげな濃淡がお気に入りの私なので、そちらのほうを入れているのですが、純正のセーラーを入れたりするとまたフローは変わるのかな?とは思います。
試筆の時の記憶だと、だいぶセーラーが黒っぽい青じゃないかと思っているのですが。
一度は純正を試してみるべきですよねやっぱり。
プラチナのミュージックペン先のような、「あっというまにインクが減っちゃうよ!」的な豊潤な感じではないです。
ペリカンインクのせいなのか、この万年筆の個体としての特色なのかは謎。
ひさびさ、「電子メールが身近になかった時代」の、手紙魔だった頃に使い込んでいた万年筆を思い出しました。
それくらいに、ことばをたくさん記すことが嬉しい手応えが伝わってくるのです。
国産ブランドの良さがしみじみとわかる道具です。
普通に手帳やメモ書きでこまかく書き込むときの即戦力にもなってますし。
(手の角度が変わるせいなのか、大きな字を書くときは自然に線幅が若干太くなる不思議..!)
手書き好きな日本人なら、長刀万年筆、ぜひ使ってみてほしいです。
ホント、いいよコレ。
↓ Amazonではこちら。記事投稿当時とは価格と軸デザインが違う件 ご了承下さい。
○セーラー万年筆 万年筆 長刀研ぎ ゴールドトリム ブラックGT 21K 中細(MF) 10-7121-320