半年ぐらい前に購入して以来、ちょこちょことやり続けていた分厚い教則本、ようやく昨日に最後のページへ到達したので、達成感と共にここへ記録しておきます。
○ はじめての3DモデリングBlender3 超入門(富元 秀俊/大澤 龍一) | 書籍 本 | ソシム :出版元サイト
厚みが3.5センチぐらいあり、うしろの索引を含めると495ページもあるボリュームたっぷりの書籍です。
気が向いたとき開く程度では、やってもやっても終わらない気がしていたのですが … 全体の3分の2を超えた辺りで何となく気づきというか勘が働くようになり、エンジンがかかりました。
挫折しないで良かった〜
Blenderは、コロナ禍の最初の頃に一度YouTubeのチュートリアルを見て取り組んだことがあったのですが、今ひとつ頭に定着しないまま終わってしまいました。
有り難いことに無料のソフトウェアなので、敷居は低かったんだけどなあ。
3Dでどういうことをやりたいかで、選ぶチュートリアルは全然違うんですよね。
(たとえばVTuber方面の制作に挑戦したい方は、そちら方面の教則本も沢山でていますし、YouTubeなどネット上でも修得手段がさまざまにあると思います)
私は、動いたり喋ったりするキャラクターよりも、部屋の中の小物とか箱庭のような世界を作ることに興味があります。
仕事で特に必要としているわけではないけれど、(形状や陰影のアタリ程度に使えるのでもいいから)立体素材を手軽に作れれば、制作効率も上がるだろう..という期待があったのも学習動機のひとつでした。
そういう、箱庭というか箱部屋(?)なCGが流行っているのかもしれないけど、ちょうどその頃Instagramで見かけたお気に入りの海外クリエイターさんがいまして
「好きだなー!こういうの作れたら楽しそう」といつも眺めていたのです。
その方がある日、Blender3.5のスプラッシュスクリーン
(ソフトの起動時に数秒表示される、扉絵のような画面。Adobe系でも出て来ますよね。)
に採用された!
と喜びの投稿をしているのを見て、やっぱりすごい人なんだ…ととても嬉しかったのを覚えています。
↓ このCGです。Blenderの元データもダウンロード出来るので、レンダリングしてうっとりしてました。↓
○ Blender 3.5 Release — blender.org
そういう経緯のあとに今回の教則本が出て、これなら「部屋の中」が私にも作れるようになるはず!
と表紙を見て単純に即決です。
ネットの情報だけで実物を見てなかったので、届いてからそのボリュームに驚愕でしたけれど。
非常にわかりやすく、楽しく取り組むことが出来ました。
モデリングの基本要素ごとのテーマを生かして小物や家具を一つづつ作っていきます。
(以下は、私が作ったデータのスクリーンショットです)
(↑植物がうまくいかなくて作り直したけれど、やっぱりなんだか変な形だなあと思いつつ諦めた痕跡があります)
このなかでいちばんスゴイと思ったのは、クッションでした。
物理演算の機能を使って、板状の物体から本当に膨らませるのです。
ブフォーッと膨らむアニメーションと共に瞬時でこの形状となり、面白かった!!
そして、窓や床や壁がついたからっぽの部屋を作ったあと、最初に作った10個以上ある小物群を配置。
その後に、床や家具に木目、ソファに布目を入れたりなどの質感設定を学び、
部屋に遊ばせるキツネのキャラクターをモデリングします。
キツネにボーン(骨格)を入れて関節を曲げてポーズが作れるようになるまで仕上げたら、ライトやカメラの設定を学びます。
最後にキツネを配置して、ポーズも付けて、レンダリング設定の基本を教わって終了。
という具合に、ひととおりの初心者向け基本操作を履修できる構成になっています。
いやー、大変だったけど、こうやって書き並べるだけならシンプルだな〜
こんなにたくさんのことを3500円程度の本で学べていいのか?
と感動するくらい、しっかりと固められた教科書的な素晴らしい構成の内容でした。
重要なことはさりげなく繰り返して操作する手順となっていて学習効果が上がるようになっていて。
いきなり難しいことや数値入力指示は極力省き「ここはこれくらいの幅(色)にしておくと良いでしょう」的な、好きなようにやっていいよという方針も感じました。
そんな感じで自然に頭に入る工夫も多いので、著者は教えること自体にも慣れている方なのであろうとわかります。
紙とKindle版両方ありますが、私は、教則本にはけっこうアンダーラインやメモなどを書き込む癖があるので、紙にして良かったです。
自分のちょっとした手順の見落としや間違いで、何度かやり直さないとうまくいかないところもありましたので、その都度ネットで調べて解決に至った経緯も余白へ書いておけたので。
マウスボタンを押すタイミングなど(本にはとても簡単そうに書いてあるけど、反復してはじめてわかる)コツなども自分なりに図解したり。
ただ、操作画面のスクリーンショットは、印刷だと数字の類いがとてつもなく小さくて大変でした。
虫眼鏡で覗いて写真の隣に描き写してましたから、この件だけはKindle版のほうがラクなのかもと思いました!
Blenderの良いところは、日本語による解説サイトやブログがたくさん存在することじゃないかと思います。
操作上の疑問な時やどうしてもうまくいかない時、検索すれば、(少なくとも初心者レベルの操作なら)必ず解答が見つかるので大きな助けとなりました。
逆に言うと、こういうオーソドックスにコツコツ積む系の勉強法が向かない人にはこの本も向いてないと思います。
データは出版元のサイトからダウンロード出来ますが、完成データではありません。
家具に使う木目のテクスチャやキャラクターを作るときの下書きイラストなど、素材データのみです。
なので、途中でどうにもわからなくなった場合は、もうそれ以上進むことが出来ませんので、最後までやり通すという強い意志は必要です。
正解に不安がある場合は何通りか作ってみて
「(なんか本と違う形状になっちゃったけど)まぁこれでいいか!」という割り切りも必要でした(笑)
これと対照的に、章ごとにその終了時点のデータがダウンロード出来て、操作を解説する動画が特典になっている教則本もあります。
YouTubeのVTuber方面やチュートリアルサイトで有名な人が著者で、ご自分の動画チャンネルとも連動していたりするので、こちらのほうが今どきの仕様なのかもしれません。
私がやってみた中では下記の書籍がそうでした。
↑ 現在の本の前に挑戦していたのがこちら。
インストールから間もないド初心者の時に購入したもの。
去年の11月末が発売日なので、今回紹介の「はじめての〜」よりはほんの少し古いバージョン向けになっていますが、初心者の修得用としては特に問題は無いです。
わりときっちり数値入力していく作り方でもあり、マグカップひとつ作るにも「はじめての〜」本とは良い意味で方向性が少し違うので、私には前回と今回の2冊を通読したことは非常に有意義でした。
そしてやっぱり、操作動画がついているのはわかりやすい。
ちょいちょい止めながら見てました。
1冊目の時に意味がよくわからなかったことが、2冊目でパッと気が付いたり、その逆もあったりで。
教則本は複数やると、(いろんな考え方の先生にそれぞれの得意な方法を教えてもらっているようなものなので、)いろんな手法が知れて楽しいんだなあ。
そうそう、Blenderを学ぶ初心者の方には操作上ぜったいに便利ですので、まんなかにホイールがあるタイプのマウスと、テンキー付のキーボードが(普段テンキーレスをご愛用の方は、単体のテンキーのご用意)をおすすめします。
また偶然にも本日、最新の4.0の配布が始まりましたが、可能な限り新しいバージョンでインストールをしておきましょう。
(自動でアップデートを促してくれる機能はありません。自主的にダウンロードしてインストールが必要じゃなかったかな)
今回の本、私はその時3.6.2を使用していたのですが。
このバージョンですと、キャラクターの関節を曲げるときの設定「頂点ウェイト」の数値が書籍で解説されたようには(P442の内容)になりませんでした。
ネットで調べたところ、本のせいでも私のせいでもなくこのバージョンのバグであると判明したので、その時の最新版である3.6.5へアップデートしたところ解消した次第です。
バージョンの違いによっては、ほんの少しの表記の違いはあっても、初心者レベルなら操作法はほぼ一緒です。
とはいえ、なるべく新しめの(昨年内くらいに発行された)教則本のほうが、便利な新機能が覚えられたりするかもしれません。
しかしですよ、20年くらい前の時代に、やはりこういう教則本で自習したLightWaveでの用語や規則などのおぼろげな記憶がけっこう蘇ったりして…
根本のところはずっと変わらない世界なんだなあと感心もしてます。
というわけで、Blenderはもう少しまだ修行を続けていきたいと思っています。
チュートリアルやるのが趣味なのだろうか? そのうち頭に染みこんで、自主的に手を動かして作れるようになるのが目標です。
今はYouTubeでも良質なチュートリアルサイトがどんどん出て来ていますし。
のんびり(しかし、忘れないうちに)勉強していこうと思ってます。