
発売時から気になっていたペンではあったのですが、見かけがずいぶん地味…と思っていたので遠目に見ていた感じだったLAMYのアイオン。
地方の文具店では、サファリは普通に置いてあってもそれ以外のラミー社製はなかなか出会えずでしたから、まあいつか観察できる機会があれば。程度に思っていました。
4月に丸善に立ち寄った時、なんとアイオンが売場にぶら下がっていました。
吊しで売っていたとかそういう意味ではなく、ほんとうに、釣竿(のような感じのワイヤー)からぶらーんと宙に浮くような仕組みのディスプレイで、サンプルのボールペンが吊られていたのです。
あらーこれなら触り放題。
というわけでちょっと書いてみたりもしたのですけれど、その硬くてずっしりの、金属の塊のような持ち心地にけっこうびっくりしました。
見た目からLAMY2000に近い感じかと予想していたのに重さも触感もずいぶん違う….どちらかといえばスクリブルのほうに近いかな?
軸表面全体はマットな感じですが、加工はとても精緻で手にほどよく吸い付いてくる気持ちよさがあります。
首軸あたりでほんの僅かにふっくらしているのも、指馴染みを手伝っている感じで。
実はなかなかすごい形状なんだなあと驚きます。
ジャスパー・モリソン氏のデザインとのこと。
LAMY2000のようなヘアラインが施されているのですが、2000が縦方向にかかっている(ので買った当初は木軸なのかなとすら思った。軽いし…)のに対してアイオンは横方向なんだとか。
みっしりとこまかすぎてroganではタテヨコ把握が難しい。
首軸はサーキュラーブラッシュ加工という、均一な質感のマット加工がかかっています。
(胴軸のヘアライン加工とは光の反射が違うのでここで継ぎ目だとわかるのですが)
きゅっとシメてしまうと段差は皆無となり、この精度は本当に見事でうっとりですよ….
“首軸との境界が消える”のは2000の4色ボールペンをお持ちの方には覚えがあるはず。
ということで、こんな軸なら万年筆はどんな書き心地なんだろうと興味津々に。
実際に試したわけでもないのですが、その後まもなくポチってしまいました(Amazonがとても安かったので….。)
こういうデザインでLAMYならまずは黒軸から入るべきであろうという心の声にも従い、手帳にも使いたいのでEFペン先にて購入しました。

ペン先はサファリやアルスターと同じものなのかなと思っていたら、「肩」の部分の曲線が膨らんでいてちょっと違う。
書き味はかなり硬いです。
(直後に使い較べるとサファリのほうがふんわりに感じるくらいに)がっちりハードな手応えでうわあ疲れそう…となるんですが、何故かぎっしりノートが埋まるくらい楽しく書けてしまう。
微少なしなりが効いているんだと思われます。
また、これ以上1gでも多かったら重すぎるかなというくらいの絶妙なズッシリ感もちょうど良いんですよ。
カートリッジ付で本体のみなら23g、キャップ付なら35gでした。
うしろに付けるとかなり引っ張られるし、キャップ自体もクルクルまわって安定しないので私は本体のみで使用。
ちなみにキャップは引っ張ってあける勘合式です。
クリップはわりと大きめに開くので、バインダーの表紙ぐらいでも大丈夫。
EFはサファリ並みの線巾(国産よりは太め)だと思いますが、この黒軸はわりとインク出が渋めの個体でした。
当初は純正のターコイスインクを付けていましたが途切れる寸前の薄さになる時がありまして。
エーデルシュタインのタンザナイトを詰め替えてみたら気持ち良く書けるように。
フロー渋いペン先にはエーデルシュタインが万能! (コンバーターを使用の場合、サファリで使う赤色でなく黒ツマミのほうがアイオン用です。)
というわけでとても気に入ってます。
どれくらい好きになったかというと、数週間後にいつのまにか赤軸が増えている…!

先日伊東屋に立ち寄った折、混雑する万年筆売場でぼうっとラミーのコーナーを眺めていたのですが、(そのときは1階で開催のアルスターのキャンペーンで入っていた思われる)LAMY社のバッジを付けた方が通りかかったので。
思わず「これ見せて下さい」と言ってしまい、その後の展開は伊東屋スタッフの人に頼むより早かった(笑)
同じEFなんですが、こちらはさすが伊東屋直売クオリティと言うべきなのかフローはとても良く、黒軸とはまた違った個性を感じます。
純正の青カートリッジをつけて日記などにも多用中です。
最初は一瞬、硬くてボールペンみたいだなと思ったアイオンですが、この楽しさはやっぱり万年筆だよなあ。
この軸、朱赤っぽい第一印象はあるんですが、光線の当たり具合で暗くなったところにややパープルがかった雰囲気を感じることもあり、なんとも不思議で素敵な色具合なのです。

長々と書きましたが、(予想外に。しかもスチールペン先なのに。という意味で)こんなに良いなと思ったペンは久々。
自分でも驚いているところです。
ひんやり重い金属軸が楽しい季節になってきたということでもあります。
平成の一番最初に買って手元に現存(!)している万年筆ってサファリの赤軸なんです。
奇しくも、平成最後の万年筆もラミーの赤になっちゃった。
面白い…
今年は私にとってラミーyearになるのかもしれないです。
パステルカラーのsafariも気になってますもちろん!
