1月早々の話なのですが、なんだかいきなり今年の最初で最後の大物になりそうな(と、希望したい…)ペンを入手してしまいました。
気になっていたので「いつかそのうち」とずっと思っていたのですけれど。
たまたま実物をじっくりと眺める機会があり、やはり姿がカッコいいなあと。

つやつやした黒漆の塗りで、ふんわり温かな触感です。
届いた当初は中屋万年筆の時にも覚えのある漆の香りがほんのりとあったのですが。
半年以上経った今は消えてしまったなぁ。
どちらかといえば細身の軸だとは思います。
モンブランの149とほぼ同じ長さ
(つまりけっこう大型。ペリカン800より長い…)にも関わらず、
「あら」
と言ってしまったほど軽いのは、エボナイトの軸だからでしょうか。

細長さの割に軽い ということに慣れるのに少々時間がかかったのは確かです。
しかし後ろにキャップ
(さすがにカスタムのシリーズでいちばん立派なこともあり、金色パーツが分厚くて立派!)
をつけるとバランス的にはだいぶ引っぱられます。
というわけで、このペンは「軽い軸が好きな人」のほうが向いている気がするのですが、どうでしょうか。
ペン先は15号というパイロットの万年筆の中では一番の大型で、今まで使ったことがありませんでした。
カスタム845の場合は18K製です。
軸そのものと同じようにシュッとして長い。
手に伝わる「ペン先の長さ」が特徴的で面白いのです!
ペリカンやモンブランの大型軸では感じないのは、横幅も有るからなのかな…
今回は細字を選びました。
現在個人的流行の真っ最中であるEFペン先が存在していたら、
きっとそちらを狙っていたかもしれません。
(しかしあいにく845のラインナップはBB/B/M/F字の4種類。)
太軸には太めの線幅を合わてこそ というようなことはよく聞きますが、この845の場合は細字でもアンバランスさは全く感じないスマートなデザインだと思います。
細字向けの大型軸!と言ってもいいくらい。
私にはとても実用的に使っていけそうです。
値段が値段なのでAmazon買いは勇気が要りましたが、ペン先のコンディションは大変良く、ラッキーでした。
(愛用者による素敵なレビューも多かったので、あらためて所有満足度高まりました。是非読んで欲しい…)
フローも良いので細字でもインク色がよく映えて、書き味に微塵も不満無し。

ねっちりと紙に沿う、丸くマイルドな感じはいかにもパイロットのペン先の特徴でもあり、
こんなにスルスル滑らかなのは18Kペン先だから? などと素人考えで浮かれたり。
「やわらかい」とか「しなる」とまでは思わないんですよ。
しかし、僅かにふわんと弾む、吸い付くような書き心地がとても上品です。
ああ良いな。

ちなみに、布張りの箱はなかなか立派でした。
(内部もフサフサ!高級ハムとか洋酒が入ってそうな…)
それ以上にうおぉと思ったのは同梱品で、つまみ含めた上半分のパーツが黒色のcon-70です。
あまりのお揃いぶりに、845専用デザインなのかしら!
とわくわくしたのですが、調べてみるとこの黒つまみバージョンは海外で普通に売っているパーツ配色なのだそう。
これも大事に使わなければ。
・・・と言いつつ、青インクのカートリッジが手元にたくさんあるのでいまだ出番がありません。
(パイロットの青、色彩雫が束になってかかってきても私は一番好き。)

それにしても、一番ありがちとも言える黒 – 金な配色の万年筆(しかも国産メーカー品)の見かけに、ここまで惚れ惚れとしたのは初めてかもしれません。
2つの色の深みがとても素敵なんですよ。
このカスタム845は、恒例の「世界の万年筆展」などを機会に何度か青や緑といった違う漆色の軸でも限定発売されているようで、これまたずいぶん気になるなぁ。
現在も手に入るのは、アサヒヤ紙文具店さんで販売中の朱漆軸です。
今回の買い物でも正直かなり迷いました。
こちらでは、ウェーバリーやフォルカンといったペン先で手に入るのも大変に魅力ですよね。

↑ カスタム742で使ってます。好きなペン先です。
というわけで、カスタム845、予想以上に素晴らしい万年筆でした。
中字なども味わってみたいけれど、それを考え始めるともう「沼」なので(涙)。
この気持ちは今のところ、ずーっと下のほうに仕舞っておこうかと思います…